2年前、私の持株会の評価は+100%だった。
20年積み立てた金額が、ちょうど倍になっていた。
今は+20%しかない。
数字を見るたびに、ため息が出る。
左遷を告げられてから1年。
私の社内での評価が静かに下がっていくのと歩調を合わせるように、会社の株価も下がっていく。
因果関係などないのは分かっている。
それでも、裏切られているような気持ちになる日がある。
会社の中にあるお金を、自分の口座に戻したかった
すぐに売る気はない。
+20%まで減ったとはいえ、プラスはプラスだ。
慌てて手放すような株でもない。
ただ、持株会のままだと、自分のタイミングで動かせない。
売りたいときに売れない。
一部だけ取り崩すこともできない。
20年続けてきた間は、それが「強制的に積み立てさせてくれる仕組み」として機能していた。
でも、辞める準備を始めた今の私には、その不自由さが急に重く感じられた。
会社の名前で預けられているお金と、自分の名前の証券口座にあるお金は、金額が同じでも意味が違う。
後者は、いつでも自分の判断で動かせる。
その自由を、辞めるかどうかを考えている今だからこそ取り戻したかった。
最大限の2500株を引き出した
持株会の規定で引き出せる上限、2500株。
迷わず最大限を選んだ。
中途半端に半分だけ残す理由が、もう私にはなかった。
会社への愛着は、左遷宣告の日にほとんど蒸発してしまった。
残っていた最後のひとかけらも、株価が下がり続けるこの1年で、静かに削られていった。
申請を出してから、証券口座に2500株が入金されるまでは思ったより淡々と進んだ。
画面を開いて、自分の名前の口座に2500株が並んでいるのを見たとき、特別な感情は湧かなかった。
ただ、「ようやく自分のものになった」とだけ思った。
+20%は、20年分としては正直さびしい
FP3級の勉強を始めてから、利回りを年率で考える癖がついてしまった。
長いあいだ、毎月1万円を拠出していた。
それが+20%。
単純に割れば、年率1%にも届かない。
会社の奨励金は、毎月の拠出に対して300円。
1万円拠出して300円。
率にすれば3%上乗せされていた。
毎月の300円は地味だが、20年積み上がれば馬鹿にならない金額だ。
むしろ、株価そのものの伸びより、この300円のほうが堅実にプラスを支えてくれていた気さえする。
実は今、毎月の拠出は1000円まで下げている。
左遷の後、自分の中で「もうこの会社に多くを預けたくない」と思った時点で、こっそり減額した。
脱退する勇気はまだなかったが、流し続ける金額を細くしておくことはできた。
今思えば、あれが脱退への助走だった。
それでも20年続けてこられたのは、毎月1万円を自分の意思で積み立てる自信がなかったからだ。
給与天引きの強制力と、毎月の300円の奨励金。
この二つに背中を押されて続いた。
仕組みに助けられてきたのは事実なので、結果の数字だけで持株会を全否定する気にはなれない。
ただ、これからの20年は同じ仕組みに頼るわけにはいかない。
退職が見えている今、自分で判断して動かせる場所にお金を置いておきたい。
私も左遷、会社の株も停滞
並べて書くと、目も当てられない。
それでも、2500株は自分の口座に戻った。
これからどうするかは、まだ決めていない。
売るのか、配当を受け取り続けるのか、新NISAへ移すのか。
FP3級で学んでいる譲渡所得や配当所得の知識を踏まえて、ゆっくり決めるつもりだ。
退職準備の最初の一歩としては、悪くなかったと思う。
少なくとも、会社の中に握られていた何かが、ひとつ自分の手元に戻った。
それだけで、今日は十分だ。

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