新しく住むのは、築45年の古いアパートだ。味があって、家賃も手頃。一目見て気に入ったのだが、あとから大きな問題が発覚した。
玄関の入り口の幅が、なんと64センチしかないのだ。
そこで困ったのが、長年使ってきたタイル張りのテーブルである。
このテーブルとは、もう30年の付き合いになる。重厚なタイル張りの天板は、料理を置いても安定感があって、見た目にも温かみがあった。
傷ひとつひとつにも思い出があって、ずっと一緒に暮らしてきた家族のような存在だった。

しかし、採寸してみると一目瞭然。どう考えても64センチの入り口をくぐることはできない。
何度か「もしかしたら」と思い直しながら、最終的には廃棄することに決めた。
捨てると決めた瞬間は、正直少し胸が痛かった。
けれど、考えてみれば、これほど長く使い続けてきたこと自体、そのテーブルが
本当に良いものだったという証拠だ。
30年間、よく頑張ってくれた。そう思うと、感謝の気持ちの方が大きくなってきた。
今度の部屋は小さい。それならいっそ、家具も小さく、身軽に暮らしてみようと思う。
大きな家具を手放してみると、案外「なくても大丈夫」なものは多いのかもしれない。
新しい暮らしの中で、本当に必要なものだけを選んでいく。
それがこれからの、私らしい暮らし方なのだと感じている。

コメント