気づけば、部下ゼロの部署にひとり。
携帯もならない。メールもこない。誰とも話さない。
唯一の会話といえば、宅配便のお兄さんとの「ここにサインお願いします」くらい。
まさか、56歳でこんな働き方になるとは思ってもみなかった。
「左遷」と聞くと、どこか他人事のように感じていたのに、
その日が自分に来た。
静かな部署で始まった“新しい日常”
異動の辞令が出たのは6月。
上司の口から出た「○○さんには新しい部署を一人で担当してもらいます」という言葉。
“信頼して任せる”とも言われず、
正直なところ「それって、ただの島流しでは?」と思った。そう、島流しでした。
まさに無人島。
報告も指示もない。会議で誰かに文句を言われることもない。
もうお客様先にいかなくてもいい。誰も見ていないから、服装も気楽。
「あ、今日メイクするの忘れたけど誰も見ないし、いいか」
そんなふうに考えながら、これでいいのかと不安になる。
在宅勤務で3キロ増
在宅勤務が増え、通勤がなくなった。
朝はぎりぎりまで寝て、昼は簡単に済ませ、夜は焼酎やワインを飲む。
うっかり飲みすぎる。
「今日は頑張ったし、ちょっとくらいいいよね」
そんな日が続いて、気づけば体重計の数字が3キロ増えていた。
一人部署だからこそ見えたもの
部下がいないのは寂しいけれど、悪いことばかりでもない。
誰にも気を使わず、誰の愚痴も聞かなくていい。
自分のペースで仕事を進め、疲れたらコーヒーを淹れてベランダへ。
風の音を聞きながら、ふと笑ってしまう。
「これ、けっこう悪くないかも。」
午前中に集中して仕事を片づけ、午後は散歩やストレッチ。
仕事と生活の境界がゆるやかに混ざって、
こういう日常もありなのかもしれないと思えた。
自由だけど 何か虚しい
今は、誰も見ていないこの場所で、
自分のペースで、仕事をする。
それ自体はありがたい。
在宅勤務で太った3キロをどうにかしようと、
近くのジムに行くようにした。
出勤の代わりに30分歩く。
家に戻ってパソコンを開く。
島流しにされても、私は消えていない
56歳、左遷、部下ゼロ、在宅で3キロ増。
今の私はあの頃より少し自由。でも、私の後任のスケジュールが目に入ると
何とも言えない虚無感が沸き上がる。
皆がzoom勉強会をしているのに、もう私はそのメンバーにはいない。
会社が私をひとりにしたのなら、
これからは“自分のため”に働いてみようと思っている。


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