56歳、静かな退職──左遷でひとり職場で見つけた希望

私は今、同じ会社の中で、ひとりで働いています。
表向きは「配置転換」ですが、実際には左遷に近い異動でした。
長年勤めてきた部署を離れ、社長直轄事業という名で一人だけのチームです。


“静かな退職”は私が希望したのではなく 会社から仕向けられてしまった

左遷という名の静かな退職

直接「辞めてほしい」と言われたわけではありません。
でも、会社の中での立場は明らかに変わりました。
若い上司が中心となり、ベテランは「扱いづらい存在」になっていく。
そしてある日、突然の人事異動通知。
そこには、これまで積み重ねてきたキャリアや誇りを
“リセット”するような冷たさがありました。

気づけば、私の仕事は単純なルーティンと雑務だけ。
相談する相手もいません。
それでも、「まだ自分にはできることがある」と言い聞かせながら働いています。

静かな職場の中で考える時間が増えた

一人の時間が増えると、嫌でも自分と向き合うようになります。
「自分の人生、このままでいいのか?」
「あと数年、この場所で何を見つけられるのか?」
そんな問いが、ふとした瞬間に浮かびます。

以前は忙しさに追われて考える暇もなかった。
今は、時間だけはたっぷりあります。
皮肉なことに、この静かな環境が、
私に“人生を立て直すチャンス”を与えてくれている気もします。

お酒に逃げてしまう夜もある

正直に言えば、最初のうちはお酒の量が増えました。
「一人で頑張ってる自分へのご褒美」と言い訳をしながら。
でも、飲めば飲むほど虚しさが残るだけでした。
ある朝、鏡に映った疲れた顔を見て思いました。
「このままじゃいけない」と。

それからは、少しずつお酒を減らすようにしています。
週に2日は休肝日を作り、代わりに音楽を聴いたり、本を読んだり。
そうすると、少しだけ気持ちが穏やかになりました。
お酒を完全にやめることはできなくても、
“自分を壊さない飲み方”を覚えていくことが、今の目標です。

今の時間を、次の準備に変えていく

静かな職場には、確かに寂しさもあります。
けれど、誰にも邪魔されず、自分のペースで考えることができる場所でもあります。
私は今、この時間を「次の人生の準備期間」だと思うようにしています。

  • 健康を最優先にする(昼休みに散歩をする)
  • 自分の気持ちをノートに書き出す
  • 定年後の生活を現実的にシミュレーションする
  • 学び直しの時間をつくる

誰も見ていない場所でも、学びと変化は自分の中で積み重なっていく。
それが、いずれ“再スタート”の力になると信じています。

静かな退職を、静かな再生へ

左遷という言葉には、重い響きがあります。
でも、それを“敗北”と決めるのは、まだ早い。
静かに働きながら、自分の生き方を見つめ直す時間は、
きっと、これからの人生の糧になるはずです。

誰にも理解されなくてもいい。
自分の中で“誇り”を絶やさずに働けるなら、それで十分。
56歳、まだ終わりではありません。
静かに、でも確かに、私は次の人生を歩き始めています。

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